猛暑を越えた芝が、9月に本当に必要としていること

グラウンズパーソン
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今年の夏も、多くの現場で厳しい暑さが続きました。「水をやって、なんとか乗り切った」という現場も少なくないと思います。

ただ、9月に入ったこのタイミングで、本当に見るべきポイントは、実は水やりの先にあります。

「生き延びた」芝と「回復した」芝は違う

猛暑を乗り切った芝は、一見すると緑を保っているように見えます。しかし、根の状態まで見ると、話は変わってきます。夏の高温・多湿ストレスは、地上部よりも先に根の活力を奪います。

葉は青々としていても、根の伸長が止まっている、あるいは浅いところに留まっている、というケースは珍しくありません。

「見た目が回復した」ことと「根から回復した」ことは、まったく別の話です。この違いに気づかないまま次の作業に進んでしまうことが、秋以降の芝の状態を左右します。

日本特有の課題:オーバーシードのタイミング

ここで、日本の芝生管理を語る上で欠かせない話をします。日本の多くの現場では、暖地型芝(高麗芝、バミューダグラスなど)に、寒地型芝(西洋芝、ペレニアルライグラスなど)の種をまく「オーバーシード」という手法が採用されています。夏の間に活躍した暖地型芝が休眠に入る前に、冬場も緑を保つための寒地型芝を仕込んでおく、という日本ならではの工夫です。

このオーバーシードのタイミングは、猛暑の影響が大きかった年ほど、慎重に判断する必要があります。

  • 暖地型芝の根がまだ十分に回復していない状態で種まきをすると、新しい芽と既存の芝が養分・水分を奪い合い、両方が中途半端な状態になりやすい
  • かといって遅らせすぎると、寒地型芝が十分に根を張る前に気温が下がり、発芽・定着が不安定になる

つまり「例年通りの時期に、機械的にオーバーシードを行う」のではなく、今年の暑さで根がどれだけ消耗したかを見極めてから、時期を調整する判断が求められます。

さらに言えば、残暑がどれだけ続くのかによって、日程を前後させたりと、天気や気温との戦いにもなります。

見極めるための、シンプルなチェック方法

複雑な機材がなくても、ある程度の判断はできます。

  • 芝の一部をそっと引っ張ってみて、根がしっかり土をつかんでいるか確認する
  • 数センチ掘り返してみて、根の色(白っぽく健康的か、茶色く傷んでいないか)を見る
  • 同じ場所でも、日照条件によって回復度合いに差が出やすいため、複数箇所で確認する

この確認を怠ってオーバーシードを急ぐと、結果的に秋・冬の芝の状態が思うようにいかず、翌春の管理にまで影響することがあります。

「例年通り」を疑う9月に

厳しい夏の後は、去年と同じスケジュールが、必ずしも今年に合うとは限りません。焦って次の作業に進む前に、根の状態を確かめる。この一手間が、秋以降の芝の状態を大きく左右します。


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