【密着】グラウンドキーパー、グラウンズパーソンの1日とは？知られざる「縁の下の力持ち」の仕事内容

スポーツを愛する皆さん、サッカーや野球、ラグビーの試合会場、あるいは学校のグラウンドで、ふと「この素晴らしいピッチや芝生は、どうやって維持されているんだろう？」と思ったことはありませんか？

私たちの目を楽しませ、選手たちが最高のパフォーマンスを発揮できる環境を支えているのが、「グラウンドキーパー」あるいは「グラウンズパーソン」と呼ばれる専門家たちです。

彼らはまさに「縁の下の力持ち」。今回は、そんなグラウンドキーパーの1日に密着し、その仕事内容と重要性について深掘りしていきましょう。

グラウンドキーパーの仕事は、単に芝を刈るだけではありません。選手たちの安全を確保し、怪我のリスクを減らすこと、そして最高のプレーを引き出すためのコンディションを維持することが、彼らの最も重要なミッションです。

雨上がりの水はけ、乾燥した土の管理、芝の病害虫対策など、自然を相手にする仕事だからこそ、専門的な知識と経験が求められます。

グラウンドの種類（天然芝、人工芝、クレーグラウンドなど）や、担当する施設の規模、時期によって仕事内容は異なりますが、ここでは一般的な日本の天然芝のグラウンドを管理するグラウンドキーパーの1日の流れを見てみましょう。

【早朝】準備と状況確認

グラウンドの状況確認: グラウンド全体を歩き、芝の状態（生育状況、病害虫の有無、傷み）、土の状態（乾燥、湿り具合）、排水状況などを詳細にチェックします。前日の天候や使用状況を踏まえ、その日の作業計画を立てる上での重要な情報収集です。
資機材の点検・準備: 芝刈り機、トラクター、散水機、ライン引き機など、使用する機械の燃料やオイル、刃の状態などを確認します。安全な作業のためには欠かせない工程です。

メイン作業

芝刈り: グラウンドキーパー、グラウンズパーソンの代表的な仕事の1つ。芝の種類や季節、使用目的（試合用、練習用など）に応じて、刈り高を調整しながら丁寧に芝を刈り込みます。美しい模様がつくように刈るのも、熟練の技です。
散水: 芝の乾燥を防ぎ、健全な生育を促すために散水を行います。夏場や乾燥する時期は特に重要で、芝の根元までしっかり水を行き渡らせます。
施肥: 芝に必要な栄養を与えるために肥料を散布します。芝の色つやを良くし、利用によるダメージからの回復速度を早くしたり、病害虫への抵抗力を高める効果があります。
ライン引き: 試合や練習で使用するライン（サッカーの白線など）を正確に引きます。選手が迷うことなくプレーできるよう、精密な作業が求められます。
病害虫対策: 芝の病気や害虫の兆候があれば、早期に対策を講じます。適切な薬剤の散布や、病気の発生原因となる環境改善を行います。
土壌改良: 必要に応じて、土壌の硬さを調整したり、通気性を高めたりするための作業を行います。

メンテナンスと整備、次の日の準備

グラウンドの補修: 試合や練習でできた穴や傷みがあれば、土や芝を補充して補修します。
資機材の清掃・メンテナンス: 使用した機械を清掃し、必要に応じてメンテナンスを行います。定期的な手入れが、機械の寿命を延ばし、安全な作業につながります。
周辺環境の整備: グラウンドだけでなく、ダグアウトやベンチ周り、通路などの清掃や整備も行います。
日報作成・翌日の準備: その日の作業内容を記録し、翌日の作業計画を立てます。天気予報なども考慮に入れ、効率的な作業を心がけます。

グラウンドキーパー、グラウンズパーソンには、植物学や土壌学に関する専門知識はもちろん、機械操作のスキル、そして何よりも「グラウンドを最高の状態に保つ」という情熱が求められます。

夏は猛暑の中、冬は寒風の中で作業することもありますが、手入れが行き届いたグラウンドで選手たちが躍動する姿を見る時、そして利用者から「最高のグラウンドだね！」と声をかけられた時に、大きなやりがいを感じる仕事です。

グラウンドキーパーの仕事は、決して華やかなものではないかもしれません。しかし、彼らが日々流す汗と努力があるからこそ、素晴らしいスポーツシーンを目の当たりにでき、安全にスポーツを楽しむことができるのです。

次にグラウンドを訪れる際は、ぜひその足元に注目してみてください。そこには、グラウンドキーパーたちの惜しみない努力が詰まっているはずです。彼らの仕事に、改めて感謝と敬意を表しましょう。